長い目でみて転職を成功させる秘訣はあるのでしょうか?
転職で人生を変えたいが、その場しのぎの転職で後悔しないようにしたい。どんなことに気を付けるべきかを教えて欲しい。
エンジニアの転職は個人的に大賛成だけど、10年、20年経って振り返ったときに、どんなキャリアを積んできたかは、その先の人生にも大きく影響します。
戦略的な転職、長期ビジョンを持った転職についてお話しします。
転職先を決める前にやっておくべき3つのこと
現状から脱して新しい一歩を踏み出したい、というのが多くの場合の転職の狙いですよね。
でも、現状を変えたい一心で早まった決断をしないことも大切です。
せっかく人生をリセットしてやり直すのだから、転職してすぐに後悔はしたくないですよね。
五回の転職をしてそこそこ成功してきた経験(手前味噌?!)から、転職することを決めた後、実際の転職先を決める前にやっておくべき3つのことについて紹介します。
10年後、20年後に自分を振り返ったとき、多くの人に認められる人生にするために、とても大事な内容です。
自己分析とポテンシャルの自己評価
自分のことって、意外と自分ではわからないものです。
これまで1,000人以上のエンジニア育成をしてきて、自分を正確に理解していないことで損をしている人たちをたくさん見てきました。
どんなことでも同じですが、現状(As-Is)を的確に把握して、目標(To-Be)をしっかりと定めて、そのギャップを埋めていくことを自分で考えることが重要です。それがキャリアプランなのだと私は思います。
これから先の人生は、真っ白いキャンバスにこれまでの人生の経過が描かれていて、そこにこれからの人生を付け足していきます。
何年か経って、キャンバスの上に描かれているものがバラバラだったりするということは、人生を大きく遠回りしてフラフラしているということになります。
方向転換すること自体は多いに結構なのですが、何度も繰り返して方向転換するのは、傍からみても無駄なことをしているように映ってしまいます。
年齢を重ねるごとに、その人の経歴が持つ意味は大きくなります。
職務経歴書というのは、年齢を重ねると、その人の人間性とか実力を隠せなくなっていきます。
その場しのぎの転職がキャリアを傷つけてしまうこともあるということです。
逆に、転職や仕事の変化の流れにその人の主張や目指すものが見えるようになると、この人と仕事をしたいと思われるようになるのです。
経歴というのが、その人を素晴らしく魅せることもできるし、反対にダメに見せてしまうこともあるということです。
ここ、とても重要なんです。
だから、転職を決意したならば、必ずこの機会を利用して自己分析をして、人生の流れに対する作戦を立てて欲しいと思います。
自己分析の方法は、
- 自己棚卸し
- 他者からの意見を聞く
という2つのことで精度を上げることができます。
自己棚卸しは、自分が子供のころから経験してきたこと、その時々の想いを文章にして振り返ることで、自分の中に眠っている才能やこだわり、考え方などを引き出していきます。
ポジティブなことだけでなく、怒りや悲しみ、挫折などの経験、そこからどう立ち直ったかなども文章にしていきます。
子供のころの想い、入社したころの想い、やってっきたこと、ワクワクしなこと、あきらめたことなどを一つ一つ振り返ってみることで、これから先にやり残してはいけないことなどがわかってきます。
人間の記憶って一度に蘇ってはこないので、昔を思い出しながら文章を書いて、しばらく寝かせてから読み返してみると、こんなこともあったと記憶が少しずつ蘇ります。
何度か寝かせては読み返し、付け足していくと結構な量になっていくと思います。
私自身も過去に棚卸しをやってみて、棚卸しの文章がA4で20ページくらいになりましたが、なるべくたくさんのことを書く方が自己分析の精度が上がることになるのだと思います。
自己棚卸しをした文章から、自分なりの気づきをまとまてみましょう。
特に、自分が本当にやりたいことは何かということについて、自分の考えをまとめてください。
自分の考えがまとまったら、信頼できる人に話して意見を聞いてください。
繰り返しますが、自分のことは意外に自分ではわからないものです。
親しい友人、先輩などに、差し支えない範囲で自分の棚卸しの文章を読んでもらって、意見を聞くのもいいと思います。
意見を聞くポイントは、転職するということについてではなく、自分がこれから”やりたいこと”について意見を聞くようにしてください。
自分はこれまでこういう仕事をやってきた。でも、人生を振り返ってみると、本当にやりたいことはこういうことだと思うようになった。できれば、ここで方向性を変えてやり直してみたい。ということを話して、意見を聞いてみてください。
ポテンシャルという言葉があります。
あなたのポテンシャル、向き不向きという観点で意見を聞くことができればいいと思います。
困難な道であるとか、マイナスな面の意見も聞きつつ、一番しっかり受け止めて欲しいのは、自分が新たな方向で結果を出せるポテンシャル、つまり可能性を持っているかどうかを客観的に判断することです。
適切な先輩や友人がいない場合、あるいは相談してみたけれど、的確なアドバイスを得られなかった、という場合、外部のサービスを利用する方法もあります。
転職サービスをやっているエージェントには、多くの場合、転職コンサルタントという人がいて、職務経歴や面談などから色んなアドバイスをしてくれます。なので、転職エージェントに駆け込んでしまえば相談者は確保できるのですが、転職サービスは、転職を斡旋することがメインの仕事なので、転職先ありきのアドバイスになるので、一人の人(つまりエージェント一社)に依存するのは避けるべきと思います。
また、私の勧める方法では、自己分析は転職先を決めてしまう前にやってもらいたいことなので、本音で言うと転職エージェントでの相談は、ここで説明する3つの準備が終わってからにすべきだと思います。
そういう意味で自己分析の相談として、転職エージェントとは違う専門のコンサルタントを活用する方法があります。
私自身も技術者の方たちの相談を受けるのはこれまでもたくさん経験しているので、相談をお受けすることはできます。ただし、そのようなサービスを公に行ってはいないので、あくまで個人的な関係が出来た人が転職を考えたいという場合には、無償で相談に乗っています。
私の会社主催のセミナーなどに参加いただいた方であれば、気軽に相談してくださいと申し上げています。
その他の方法は、有料サービスにはなりますが
マンツーマンで転職活動を支援するコンサルティングサービス【ゲキサポ】
のようなサービスもあります。
少し値段は高いのですが、面談によって自己分析をサポートしてくれます。
職務経歴書の書き方なども指導してくれるようです。
自己分析に行き詰まったら、まずは無料相談してみてはいかがでしょうか?
人生の目的と目標を設定する
人生の目的、この先数年間で達成したい目標を持っていますか?
ハーバード大学の実験で、在籍時に目標を持っていなかった人の割合は全体の84%で、その人たちの10年後の年収を1とすると、目標を立てていた人の年収は2倍、目標を紙に書いていた人の年収はなんと10倍であったそうです。
目標を持つことの重要性はわかっていただけると思います。
しかしながら実際には、自分の目標を持っている人はかなり少ないんじゃないかと思います。
ここで言葉の定義をしておきます。
- 目的:一生をかけて追いかけたい志のようなもの
- 目標:数年後に達成したい数値で表せる到達点
会社でいうと、目的というのは、ミッションや経営理念のようなもので、目標は中期経営計画のようなものだと思います。
棚卸しをした文章を読み返してみて、自分の本当にやりたいことを見つめ直せたら、その延長で人生の目的、当面の目標(第1目標)を立ててみましょう。
人生の目的は、自分が社会貢献していくようなことを考えてみてください。
社会の一員として、自分の役割を考えていくということです。
例えば、私の人生の目的は、「エンジニアの育成を通して日本製造業を再び世界で脚光を浴びるように復活させる」ことです。
そして、3年後(2023年末まで)に、500人以上の技術者異業種コミュニティを作って、そこから100人以上の企業幹部候補者、または起業家を輩出することが当面の目標です。
皆さん自身の人生の目的、そして当面の目標を、転職先を決める前に設定してください。
大事なことは、今回の転職で方向転換するときに、その方向性が人生に目的に向かっているかどうかです。
一本筋の通った考えがあって、その方向に沿って転職していれば、誰が見ても納得感のあるキャリアが出来上がっていきます。
万一、将来再び転職や方向修正するにしても、多くの人に受け入れられることが出来る、前向きなキャリアになっていきます。
人生の目的と目標は、キャリア設計の基になるものです。
他人と違う他人より優れたコンテンツを作る
転職するに当たって、誰よりも優れた技術やノウハウがあれば、転職はずいぶんと楽に進められるはずですね。
でも、自分の強みを誰にでもわかるように説明するのは、なかなかに難しいことではないでしょうか?
転職だからということではないのですが、自分が他人とどう違うのか、そして他人とくらべて優れているモノを一つでいいので持っておくと、人生の中で大きな武器になります。
そして私は、技術者と呼ばれる人は、必ず一つは他人よりも優れた、自慢できるものを持っているはずだとこれまでの経験から信じて疑っていません。
しかし、技術者、エンジニアは奥ゆかしいところがあって、あまり人と比べたり競争したりということが得意ではない人が多いのかと思います。
でも、人生を豊かにするためには、時には競争も大切です。
人を押しのけるのではなく、自分を光って魅せることです。
狭い領域に絞って、ニッチな世界でNo,1を作り出してみましょう。
これだったら今の会社でNo.1だというもの、そして外の世界でも通用するはずというものを、無理やりにでも作り出すのです。
技術に関すること、ノウハウでも何でもいいです。
例えば、実験計画法については理論や実践法などで誰にも負けない、とか。
会議の進行については会社でも一目を置かれている、とか。
安全規格についての知識はピカ一である、とか。
何か一つ見つけてください。
他人より優れたコンテンツをひとつ見つけたら、そこにオリジナリティ(独自のもの)を味付けして、プレゼンテーションのスライドを作ってみましょう。
もしチャンスがあれば、そのプレゼン資料を使って社内での勉強会などで披露してみてください。
オーディエンスからのフィードバック、反応などを得て、ブラッシュアップが出来れば尚結構です。
自分のオリジナリティが増えてくれば、真のNo.1に近づいているということです。
このNo.1の武器をキャリア設計、つまり転職に活用できるようになれば、転職が成功するだけでなく、転職後のキャリアでも昇給・昇格などに繋がっていくはずです。
ぜひともあなた独自のコンテンツをあなたのキャリアの中で作り続けて下さい。
コンテンツそのものも重要ですが、コンテンツを作って活用して改善する、そして、自分の中から新たにコンテンツを見つけて追加していくこと、つまり自分の中身を形にして育てていく習慣が、もっとも大事なことだと思います。
転職を長い目で見て成功させる秘訣のまとめ
転職を成功させるために、転職先を決める前にやっておくべき3つのことについてお話ししてきました。
- 自己分析とポテンシャルの自己評価
- 人生の目的と目標を設定する
- 他人と違う他人より優れたコンテンツを作る
さて、これら3つことを別の言葉で言い換えてみると、
- 現状分析
- 目標設定
- 競争戦略
ということになります。
そうなんです。長い目でみて転職を成功させるためには、転職に対する戦略を立てるということをお話ししてきました。
そして、この考え方をもう一歩進めると、一度の転職に限らず、キャリアを考える上でも大変重要な考え方になり、さらに言うと人生設計でも同じことが言えるのだと思います。
現状分析→目標設定→戦略策定ということ、つまり、転職を成功させるためには、キャリア設計の戦略を立てることなのです。
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