マーケティングの学び方

一生勉強

どんな事業を始めるにしてもマーケティングを学ぶことは必須です。

成功者は、マーケティングをしっかりと押さえてます。

マーケティングとは何でしょうか?

マーケティングとは”市場調査”だなんて言う人もいますが、せめてもうちょっとまともな答えを考えてみると、例えば、

”商品やサービスを買ってもらうための仕組み作り”

これくらいが最低限必要でしょうかね。もう少し抽象度をあげると、

”効率的かつ継続的に売上と利益を生み出せる状況を作り出すこと”

と言うことで定義できるのかもしれません。

もっと広義に考えていくと、次のようなことを言っている人たちもいます。

「市場に価値を創り出して適用するための一連の行動であり、企業活動全般に近い輪郭を持つ。(森岡毅さん)」

「企業が消費者中心の考え方から人間中心の考え方に移行し、収益性と企業の社会的責任をうまく両立させること。(フィリップ・コトラー)」

ここから伝わってくるのは、マーケティングというのは、企業内の一部門が担当するレベルのものではなく、企業全体で考えていかなければならない、とても大きな課題だということだと私は思います。

 

マーケティングって、企画部門とかマーケティング部門だけのものじゃないんですね。もっと大きく捉えろってことですね。

 

実は、マーケティングという言葉は、そんなに古いものでないようで、1905年にペンシルベニア大学で開かれた「The marketing of product」という講義あたりが最初(所説あり)とも言われていて、さらに本格的な現代マーケティングが始まったのは、1950年くらいとも言われています。

「マーケティングとは」とWeb検索すると、実にいろんな人たちがマーケティングについて語っていますが、最初にお話ししたように、ちょっとずつニュアンスが違っていたりもするようです。

色んな本を読んでいると、初期のマーケティングの話で必ず出てくるのが、T型フォードという自動車の話です。

1908年に発売されたフォードの自動車は、実用的で手軽な価格ということで、当時は馬車という移動手段を一気に置き換えるヒット商品になり、1500万台以上を生産することになったのです。

このとき、「フォードはどんな色の車でも提供できますよ、それが黒色であればね。」というアメリカンジョークが生まれるくらい、ほっておいても売れる車だったそうです。

大量生産の始まりとも言われていますが、フィリップ・コトラーはこの時代のマーケティングをマーケティング1.0と定義して、その後のマーケティングの進化を論じていきます。

マーケティング1.0は、製品主体のマーケティングとも言われています。

私が最初に言いたいことは、マーケティングというのは、今も進化し続けているということなのです。

なぜマーケティングが進化しているかというと、市場、つまり我々自体が変化し続けているからです。そして、我々(市場)の何が進化しているかを、マーケティング学(というものがあるとすると)が、解析しているわけです。

マーケティングの大御所であるフィリップ・コトラーが、マーケティング1.0、2.0、3.0、そして今、4.0と言っているのが、まさにマーケティングの進化を表しています。

 

マーケティングの進化と言いますけど、一方ではマーケティングというと、STPとか4Pとかって言いますよね。それが進化してるのでしょうか?

その辺は追々わかってくる思いますよ。

 

マーケティングを語る上で、フィリップ・コトラーを外すわけにはいかないのですが、でも注意したいのは、コトラーはあくまで学者さんであるということです。

解析や理論の展開は素晴らしいものがありますが、現場を知っているのは、実際の企業で活躍してきたプロのマーケッターたちです。コトラーの理論と、マーケティングを実践してきた人たちの現場での経験をマッチングさせながら見ていく必要があると私は思います。

今回、マーケティングに関する本を何冊か例にとりながら、マーケティングをどうやって自分のモノにしていくべきかを、私の経験も含めながらお話ししていきたいと思います。

 


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マーケティングをこれから学ぼうというタイミングでは、例えばグロービスが出している「マーケティング教室」という本が、難しくない書き方でマーケティングの歴史や、基本的なことを教えてくれます。

前述したT型フォードの話やホンダがオートバイの事業でアメリカ市場に乗り込んで、ハーレーダビッドソンに勝利した話から、マーケティングの意味、その中で、マーケティング1.0から2.0への変遷について理解が進むと思います。

 


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次は、佐藤義則さんの「白いネコは何をくれた?」という本を紹介します。

この本は、コトラーのマーケティング理論とはまったく別の角度からマーケティングを教えてくれます。しかも、本の内容は恋愛小説風になっていて、胸がきゅんとするような物語を読みながら、マーケティングの基本的な考え方が理解できるという構成になっています。

この本では、BASICSという頭文字を使って

  • 戦う戦場はどこか(Battlefield)
  • 自分は何者か(Asset)
  • 差別化は何か(Strength)
  • 顧客は誰か(Customer)
  • どうやって伝えるか(Selling Message)

ということで、自分のやりたいことを切り開いていくことを学びます。

ここで言っていることは、多くの起業ノウハウ、成功者になるためのセミナーなどで言われていることと、ほとんど同じことです。

起業に限らず、会社の中でいい仕事をするためにも、必要なエッセンスです。

私は、サラリーマンで管理職をしていたころ、元気のない部下や、将来の不安で相談にきた若者たちに、この本を読んで元気をもらいなさいと、進めたことが何度もあります。

 


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クリステンセンの「ジョブ理論」については、記事「ジョブ理論との出会い」のところでもお話ししましたが、この本もマーケティングを別角度で捉えた本だと言えます。

ジョブとは、「顧客が片づけなけなければいけない仕事」と定義して、ジョブを通して商品開発や事業開発を見ていこうとするもので、ニーズというものとも少し違う捉え方をすることで、商品や製品というものから少し離れたところで、顧客の立場になりきって顧客を助けることを学べる本です。

良く聞かれるのは、ジョブとニーズの違いですが、ニースは、ある特定の製品に対する要求であって、顧客側に立ってはいるものの、まだ製品を強く意識した考え方であるのに対して、ジョブはその製品がなくても、顧客がやらなければいけないことは何かという視点でモノを捉えていきます。

ジョブの視点でみると、ある製品の競合は、同業他社の同じ製品ではなく、ジョブに対するソリューションが複数あって、その選択肢が本当の競合であるという本質に気づかせてくれます。

本の中では、ジョブの視点で見ることで成功した企業、成功した製品やサービスなどを紹介してくれるので、成功例を読み解いて自分に当てはめて考えるというのが、この本の読み方かもしれません。

ひとつ私が印象に残っているのは、本の最後の方で「ジョブを中心とした組織」という章があって、その中でユニリーバという会社が、「新興市場の子供たちを5歳まで生存させる手助けをする」というミッションを掲げ、このミッションに含まれたジョブを、少しでも解決に近づけようとして生まれた「10秒経つと泡の色が変わる石鹸」についてです。

それまで手洗いという習慣がなく、たくさんの子供たちが命を落としていた国々で、子供たちが手洗いに興味を持つようになり、このことによって、命を落とす子供たちが減少することにつながるというストーリーです。

この話は、企業が自社の利益だけを追求する時代は終わって、世界のために貢献することが必要で、企業の社会における価値とブランドや製品を結び付けるものが市場を制すというコトラーのマーケティング3.0の話ともつながっていきます。

 


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USJをV字回復したことで有名な森岡毅さんの「マーケティングとは組織革命である」という本は、かなりお勧めの本です。

起業仲間でもある一人の友人は、マーケティングのことは森岡さんの本だけ読んでいればいいと言ってますが、そいうことを言わせるくらい、中身の濃い本です。

マーケティング理論ではなく、ほぼすべてが現場経験から生まれたであろうと思われるもので、読んでいても迫力を感じます。

ここでは、いくつかキーポイントだけをお伝えし、あとはぜひ読んでみて欲しいと思います。

1.組織に熱を込めろ、一人だけでも会社は変えられる

色んな企業でコンサルをしていて感じるのは、やはりこの組織や個人に熱を込めることの難しさだと私も感じています。一人ひとりが、そして出来るだけ多くの人が熱を持つことだけでも、会社は大きく変わると思います。

また、下っ端の自分一人では何も出来ないではなく、下っ端の一人でも自分が起点となって、周囲を巻き込みながら会社を変革できるということを教えてくれます。

2.感知→判断→行動という神経伝達が理想の組織

組織を人体に例えて、コミュニケーションが崩壊する組織のパターンや、どんな人も自己保存の本能があって、組織内のあらゆるところに断絶ができやすいこと、自己保存の本能を逆手にとって改革を進めることの必要性などが書かれています。

3.社内マーケティングのススメ

社内で下から上に提案しようとするときに、上層部の本質的な課題を上層部の立場で考え切れていないと提案は絶対に通らない、と教えてくれます。

提案するために相手の立場をしっかり理解すべきというのは、マーケティングの基本ですよね。多くの会社で実際に起こっているのは、下が上を批判的に見ていて、批判に根差した提案をしていることだということです。

モノを売ることだけがマーケティングではなく、自分が起点になって、周囲を巻き込むこと、そして上層部への提案を実現させるためにもマーケティング思考が必要だということです。

4.その他のポイント

上記3つのポイントに加えて、私の心に刺さったことが2つあって、一つは組織を改革するということは、組織のボトルネックを見つけて、そこを改善することであるということ。これは、私が別途学んでいるTOC(制約の理論)そのもので、しかも、一旦ボトルネックを改善すると、別のボトルネックが出現してくるので、次はそこを攻めるというところは、TOCの世界と同じであるということに気づいたことです。

もう一つは、売れる商品を作るという企業の大きな命題に対して、マーケティング部門と商品開発部門が離れている不幸を指摘している点です。これは私は100%賛成で、私たちのコンサル活動でももっと技術者がマーケティングに参画しなければ、イノベーションを起こせないと主張しています。

 


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三宅秀道さんの「新しい市場のつくりかた」は、とてもユニークな視点で書かれた本ですが、本質的なところは、他の私が好きなマーケティング関係の本と同じところをついているのだと思います。

メインテーマとしては、新しい市場や製品を作ることは、文化を開発することだということです。

本の冒頭で、日本のこれまでの成功体験である技術神話はもう捨てるべきだということを主張されていますが、マーケティングを学んできた私自身は完全に賛同するのですが、マーケティング的な思考のない人にとっては、冒頭から何だこれと反発する人もいるかもしれませんね。

いろんな成功例や失敗例の話もたくさん出てくるのですが、ウォシュレットの話がところどころに出てきて、文化を変える大発明でも、最初は市場から反感をかっていて、文化を変えるための市場教育のようなことも重要だということが書かれています。

問題を開発する必要があるという、非常にユニークな提言があるのですが、ここも非常に重要なメッセージだと思っています。その上で、この問題の開発ということと、ジョブ理論のジョブの視点でイノベーションと起こすことの間に、私は同じ匂いを感じてもいます。

この本のサブタイトルには、余談の多い経営学というのがあるのですが、この本全体で感じるのは、どこかの理論を拾ってきたのではなく、現場での経験や実態を十二分に踏まえた三宅さんならではのストーリーだということです。

ご本人が余談が多いと言っておられるのは、事例がたくさん紹介されているためだと思います。事例によって三宅さんの主張がとてもわかりやすくなっています。

新規事業開発や新製品開発などで行き詰っている方は、ぜひ手に取ってみてください。

 


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いよいよ大御所の登場で、マーケティング3.0です。

マーケティング3.0は2010年に発表されていますが、従来のSTPマーケティングと言われるマーケティング2.0からの変化は、顧客指向から価値主導ということが一つ、顧客管理からブランド管理ということ、さらに企業というのが、商品を作って売って収益を上げるだけの存在から、社会や顧客と良い関係を築いて、社会に対する価値と収益を結び付けるべき存在ということに変わっていくべきだと主張しています。

また、マーケティング2.0では、マインドとハートを持った洗練した消費者を対象としていたのに対し、マーケティング3.0では、マインドとハート、更に精神をもった全人的人間を対象にしようとしていて、この精神というところが、ジョブ理論のProgress(進化への欲求)と同じことを言っているように思うのと、三宅さんの「文化」を作ることに繋がるような気がしています。

企業のミッションと価値をしっかり定義して、社会に対する価値と製品を結び付けることでブランドを確立しようというところは、ジョブ理論のユニリーバの石鹸の話を彷彿させます。

非常に勉強になる本ですが、本を読みなれていない人には難解なところも多いかもしれません。

森岡さんや三宅さんの実践的な話と、両方を眺めながら読み込んでみてください。

 


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マーケティング4.0は、自己実現のマーケティングとも呼ばれていますが、顧客が成りたい自分、あるべき姿を発見して達成させるマーケティング手法ということが出来ます。

また、マーケティング3.0の発表からわずか4年後にマーケティング4.0が発表されたのですが、これは、時代の変化の速さを物語っていると思います。

特にマーケティング4.0で取り上げているのは、SNSやITの進化によって、顧客の行動が急激に変わっているところをマーケティング理論として補完していこうという狙いを感じます。

カスタマージャーニー、つまり顧客の行動を5つのAで表して5Aと呼んでいます。

Aware(認知)、Apeal(訴求)、Ask(調査)、Act(行動)までが、従来の商品を認知させて購買という行動をさせるためのコンバージョンを表しているのですが、マーケティング4.0では、この先にAdvocate(推奨)、つまり商品をネットを介して口コミで推奨することで、さらに商品力が強くなることを管理していく必要を説いています。

ネットを介した顧客の行動は、特に若者、女性、そしてネティズンと呼ばれるネット住人を動かすことが肝要と考えています。

カスタマージャニーが、業界ごとに違う動きを見せることもあり、5Aの動きの特徴から、適切な行動を起こしていくことを教えてくれます。

また、ネット上とリアルな世界でのカスタマージャーニーを捉えて、顧客行動を先取りしていくことから生まれたオムニチャネルという考え方も、マーケティング4.0から生まれたものと言えます。

まさに、現代の複雑な市場環境を捉えたマーケティング理論だと言えます。

 

マーケティングって奥が深いですね。

 

 

マーケティングは歴史は浅いものの、企業が存続し、生き続けていくためには避けて通れない考え方です。

コトラーやクリステンセンのように、理論として体系化していこうというものと、佐藤さん、森岡さん、三宅さんのように、現場での実態をベースにしているものがあります。

私はどちらも重要だと思っていて、実践をメインにしている方たちも、理論をべースに置いたうえでの実践であると思うし、クリステンセン教授も「ジョブ理論」の中で言っているように理論には限界もあって、理論と実践を如何に融合させるかが、競争に勝ち抜くために必要なことだと思います。

ところどころで述べさせてもらいましたが、それぞれの主張は、独自の視点で展開されているものの、本質的なところでは共通の考え方が存在していて、アプローチ方法や言葉の定義が違っているだけのようにも感じてしまいます。

大事なことは、自社の状況をしっかりと認識したうえで、どのアプローチが自社に適用できるのか、あるいは、それぞれの主張に対して、自社だったらどうやって実現していけるのか、あるいは実現すべきなのかを考えていくことだと思います。

そして、取り入れられる考えを、すぐに試してみることがマーケティングを理解し、成果を刈り取るための近道だと思います。

当社、フューチャーシップ(株)では、マーケティング思考の全体像を短期間で実感していくためのセミナーを開催しています。

マーケティングセミナーの詳細は下記のページを参照ください。

マーケティング思考力強化セミナー | 技術者のスキルアップ
技術者としてマーケティング思考を強化し、製品軸の考え方を顧客軸に完全にシフトしていくトレーニングを行う。ジョブ理論、ストーリー思考などを学習しなから、顧客自身も気付いていない進化への欲求を導き出し、顧客要求と製品開発を直結させることで、イノベーションの成功確率向上をけん引できるエンジニアを育成する。

 

 

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