偉くなりたいエンジニアが読むべき本10選

一生勉強

将来、責任ある地位に就くのため教養をつけたいけど、どんな本を読むべきか...

今まであまりビジネス本を読んでこなかった。将来のことを考えると、しっかり基礎教養は身に着けたい。できれば会社で責任ある地位にも就きたいけど、今からどんな本を読んだらいいか知りたい。

 

エンジニアとして技術を磨くことも大切だけど、社内で重い責任のある地位に就くということは、経営に関わるということ。経営学やマーケティング、経理などのことを楽しみながら勉強しましょう。

 

これまでクライアント企業のエンジニアの方たちに勧めて、そのフィードバックをもらった経験から、読みやすくてあまり本に馴染みがなくても読めるもので、重要なことを比較的短期に吸収できそうな本を10冊選びました。1から順番に読んでいくと、より効果的だと思います。

 

偉くなりたいエンジニアが読むべき本10選

1.マーケティングとは組織革命である 森岡毅著

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USJを見事に立て直したことで知られる森岡毅さんの本です。

マーケティングというのが、単にモノを売るための仕組み作りという狭義のものではなく、市場に価値を創り出して適用するための一連の行動であって、企業活動全般に近い輪郭を持つとおっしゃっています。

末端の人間でも、一人が起点となって会社を変えることが出来る、組織に熱を込めることが大切だというお話もあります。

社内マーケティングという言葉を使って、上層部を説得して提案を通すためには、上層部の批判をするのではなく、上層部の立場にたって上層部が目指すものを理解して、その想いに合わせた提案をしなさいとも教えてくれます。

これは、顧客起点という考えと全く同じで、すべての人と人のつながりに顧客思考、つまりマーケティング思考が必要だと言われているように感じました。

マーケティングの理論ではなく、現場で頑張ったプロのマーケッターの言葉なので迫力があります。

マーケティングだけでなく、組織をどう変えていくのか、一人一人はどう考えて仕事をすべきかなどを教えてくれる一冊です。

2.ザ・ゴール エリヤフ・ゴールドラット著

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著者の意向で、出版後17年間、日本語訳が出なかった、つまり日本には紹介したくなかったという逸話のあるTOC(制約の理論)の入門書です。

物語になっていて、登場人物たちが会社の置かれた厳しい状況に立ち向かって、ジョナという学者(著者が自分を投影させた)の教えを請いながら、問題を解決し、それぞれが成長していきます。

この一冊でTOC(制約の理論)全体を理解することはできませんが、ボトルネック(制約)を見つけてそこに手を打つことで、すぐに成果が表れること、ボトルネック以外のペースを落とすことなどで改善を継続していく考え方を教えてくれます。

森岡さんの本にも、組織のボトルネックに手を打つこと、改善を続けていくとボトルネックが変化することなどが述べられていて、組織問題解決の本質であると感じます。

会社での様々な問題、そして家庭内での問題がTOCの考え方を使いながら、それでも当人たちが一生懸命に考えて解決していくのを読むのは、とても爽快です。

チームワークで課題に取り組む姿勢、そこに鍵となる手法を取り入れるところを読み取ってください。

3.ジョブ理論 クレイトン・クリステンセン著

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「顧客は製品を見て製品を買っているのではない。成すべき仕事(Jobs to be done)を片付けるために製品を採用している。」というのが、ジョブ理論の正体です。

ジョブとは何かを掴むことが大事なのですが、この本はたくさんの事例を載せることで、ジョブを体得して欲しいという意図を感じます。

決まったフレームワークが本からは与えられないので、実際にどうやって実現するかは、読者が悩むところかもしれません。

本の中の色々な形のジョブを、自分ごととして読み解いてジョブを体得することができると、実践出来るようになると思います。

フィリップ・コトラーのマーケティング理論とも対比してみると、一層理解が深まると思います。

本の中でクリステンセン教授も言っていますが、理論には限界があります。

どのように実践していくかは、読み手にゆだねられていますが、例えば次に紹介する川上さんの本には、ジョブ理論とストーリーを考えるというフレームワークが提案されています。

私自身も自分のコンサルティング活動の中では、ジョブ理論を活用した独自のフレームワークを使っていますが、それはまた別の機会にお話しすることにします。

4.ビジネスモデル思考法 川上昌直著

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この本も物語で書かれていて、主人公が社長からの特命で、会社としての新しいビジネスモデルを作って、会社を変革させるというプロジェクトを任されます。

ビジネスモデルを考えたことなど全くないけど、やる気のあるメンバーが集められ、学習しながらゴールを目指していきます。

顧客価値を深く考えるところで、ジョブ理論の考え方が出てくるのと、それにストーリーを加えることでさらに幅を広げます。

価値設計はいいけど、利益構造の設計がダメだという大学の先生からの指摘は、実世界でも大いに在りがちな話だと思います。

タイトルからは、ビジネスモデルに特化した本だと思われるのですが、実際は、マーケティングや経営にかかわる話も含まれていて、またチームワークの重要性、リーダーシップとは何かという点でも考えさせてくれる本です。

5.会計力と戦略思考力 大津広一著

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この辺で会計の本を一冊入れたいと思います。

この本は、会計と経営戦略をどうやってつなげるかということを事例を使いながら教えてくれます。

ある程度、会計の基本がわかっていないと話についていけないかもしれませんので、財務諸表の基本的な知識だけは頭にいれてから読んでください。

大津さんは、仮説を立てて考えることの重要性を本の中でも繰り返し述べられています。

この本を読んだ後に、自社の財務諸表を眺めてみるのも面白いと思います。

6.ザ・ゴール2 エリヤフ・ゴールドラット著

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ザ・ゴールを読んでから、少し時間を空けて「ザ・ゴール2」を読むことをお勧めします。

間にマーケティング、ビジネスモデル、会計の話を挟み、少し経営的な知識も着いてきたところで、TOC(制約の理論)の世界に深く入っていきましょう。

ザ・ゴール1の登場人物たちは、それぞれ成長し、より責任のある立場についています。

この本では、TOCのフレームワークで使用するツールである、クラウド、現状ツリー、未来ツリーや前提条件ツリーなどが具体的に出てきます。

ザ・ゴールの最初は、生産工場のボトルネックを改善していくというところから始まるのですが、TOC自体も最初は工場のオペレーションでの改善手法として利用されたのが始まりで、徐々に、工場以外の組織でも活用されるようになるのですが、ザ・ゴール2では、新たなビジネスを作ること、あるいはビジネスモデルを変えていくようなところで、TOCが活用されていきます。

TOCの問題解決フレームワークは、思考プロセスとも呼ばれており、思い込みや対処療法的な考え方を改めることの重要性を伝えてくれます。

7.ハーバード戦略教室 シンシア・モンゴメリー著

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この本は、起業オーナーや実際の経営者しか受けることができないハーバードビジネススクールの講義の内容をベースに、優れた企業経営のための本物の戦略の立て方を教えてくれます。

私の好きな一文を紹介します。

「つまりあなたは、会社の目標を達成すべく奮闘し、決定的な独自性を見出し、価値創造システムを構築し、それらすべてを、自らの戦略として、明瞭な文章としてまとめなければならないのだ。」

この本で出てくるいくつかの企業の成功例、失敗例からの学びは、単に理屈を学ぶよりも現実味があって身に付きます。

ビジネススクールでは、実際に企業研究がテーマとして多く取り入れられるので、MBA取得のための学習はこういうことかと思って読んでみてください。

8.マーケティング3.0 フィリップ・コトラー

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市場の多様性、社会情勢の変化によって、マーケティングの考え方も急速に進化しています。

マーケティングの神様と言われるコトラーは、マーケティング1.0→2.0→3.0→4.0という変化を提唱していますが、1.0は製品中心の考え方で大量生産が始まった時代のマーケティング、2.0は顧客中心の考え方で、STPマーケティングとも言われ、実は今現在も多くの会社がマーケティング2.0の状態だと言えます。

3.0では、顧客ということを更に進めて価値主導の考え方に移行していくということですが、企業が単に顧客と関係性を築いてビジネスをしている状態から、さらに大きなビジョンを持って、社会貢献と収益を両立させてブランド価値を上げていくという考え方です。

4.0は、3.0から間もなく発表されたものですが、SNSの広がりとともに、顧客の購買行動が劇的に変化していることを捉えたマーケティングの進化を追いかけたものです。

どちらも学んでおくべきと思いますが、まずは、今現在のマーケティングの知識から一歩前に出るために、この本を読んでおくことをお勧めします。

学者の書いた理論なので、本を読みなれていないと難しく感じるかもしれませんが、Web上に解説記事もたくさんあるので、それらも参考にしながら読破してください。

9.良い戦略悪い戦略 リチャード・ルメルト著

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「戦略」というバズワードを、きちんと理解するためにおすすめの本です。

多くの企業、多くの経営者が「戦略」を間違って捉えていることが良くわかります。

悪い戦略を事例で説明してくれるのと、良い戦略との違いをわかりやすく解説してくれます。

良い戦略のカーネルは、診断、基本方針と行動の3つというのは、非常にわかりやすく、記憶に残しておくと必ず役立つと思います。

この本を読んで、戦略の本質を理解し、戦略家の思考法、戦略立案のテクニックなどを習得して欲しいと思います。

10.ハーバード・ビジネス・レビュー BEST10論文

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最後は、ハーバード・ビジネス・レビューのBEST10論文です。

ドラッガー、マイケル・ポーター、クリステンセンなど著名な経営学の先生たちの短編論文集です。

時代を超えた経営学の本質を学べます。

一つ一つはそれほど長くないので、気に入ったものだけを読んでいってもいいと思います。

ここまで読んできた方であれば、そろそろ経営ということが理解出来てきて、また経営ということに興味を持っていただけたのではないかと思います。

学者の理論なんてと言う方もいるようですが、理論と実践は両輪としていくべきと思います。

また、学者の理論は、実際に企業を深く研究することから生まれているので、他の企業の経営を知るためにも理論を学ぶ意味はあると思います。

これから、各企業の将来を担う技術者の皆様に、これまであまり経営学に馴染みのなかった人にも無理なく読めそうな本を選んでみました。

上記10冊の他にも、エンジニアとして読んでおいた方がいいと思う書籍をジャンルごとに紹介した「エンジニアのための参考図書紹介所」というサイトも参照ください。

 

 

 

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