起業仲間の間では、この手の情報交換を良くやります。色々と勉強をしても、裏技的な話は尽きないかもしれません。
起業にまつわるお金のことを少しお話ししたいと思います。
ここでは、自分一人でスタートすることを考えてます。(正社員を雇わない状態)
- 資本金をいくらにするのか
- 会社の売上はどれくらい見込めるか
- 自分の給料はいくらにするか
- 会社立ち上げの費用はいくらかかるか
- 経費はどれくらいかかるか
- 税金や社会保険料はどれくらいかかるか
- 会社の利益や損出はどう考えるか
- その他
いろいろと決めていかなければなりません。
起業するには1が気になるところですが、1を決めるためには2以下を概算ででも押さえておかなければなりません。
要するに、出ていくお金と入ってくるお金の皮算用をしておくということです。
考える順番ですが、気持ち的には1から順に考えたいところですが、まず、7の会社の利益や損出というところから見ていきましょう。
会社の損益
個人事業主としてではなく、法人として起業することを決めたのであれば、まず、最初に認識しなければならないのは、会社と個人をきっちりと分けることです。
個人事業主の場合は、個人の懐と個人事業主の懐は同じものですが、法人の場合は、個人の収益と会社の収益はまったくの別物です。まあ、ここをいい加減にしてしまう人も現実にはいるのですが、そこは税務署がきちんと監督するので、しっかりとやっていきたいところです。
なので、個人会社の場合は特に、会社としての損益と、個人の給与収入のバランスをどう考えるかが重要になってきます。
やっかいなのは、期(一年間の)の中で、取締役である自分の給与は変更できないということなのです。利益操作になってしまうからです。
取締役の給与(賞与も含めた役員報酬)は、事業年度が始まってから3か月以内に株主総会の承認を得て決定しなければなりません。一人役員で一人株主であれば勝手に決められるだろうと思わないでください。一人株主でも、しっかりと議事録を作って保管しておかなければならないし、実際の給与のやりとりが残っていれば、あとで変更すればすぐにわかってしまいます。
良く無借金の会社であれば、黒字を出すよりもちょっとだけ赤字という状態が一番いいということが言われます。
なぜかと言うと、会社の利益を限りなくゼロにして、法人税を払わないで、その分を給与にすることで、節税になるからということなのです。
ただし、給与もあまり上げてしまうと、所得税は累進課税なので、給与を上げるほど税率も上がるし、社会保険料も給与が上がると、比例以上の上がり方をします。
細かな額をここでは議論しませんが、給与に対する所得税、住民税、社会保険料は、いずれにしても給与を取る以上かかってくるので、給与を増減させることによる税と保険料の差額を考えてみるのと、給与の増減を会社の損益に回した時の法人税を比べてみる必要があります。
大事なのは繰り返しですが、結果で調整することが出来ないので、期初の予想ですべて決めなくてはなりません。つまり、今期の売上、利益をどれくらいで予想して、それに対して、給与を設定することになります。
十分な資本金があれば、ちょっとマイナスが理想的だし、内部留保を少しずつでも増やしたいなら、ちょっとプラスくらいを狙って設定します。
もちろん、予想が外れれば、思ったような財務上の結果は出せません。
つまり個人会社の場合は、黒字が大きければいいということでもないということです。自分への実入りと、会社の活動結果をどう配分するかなのです。
経費と初期費用
まったくゼロから起業する場合は、例えばパソコンとかプリンターとか、ネットワーク環境なども揃えなければなりません。そもそもオフィスをどうするか、などもありますね。
それらを全部初めからそろえるなら、その金額を用意しなければならないし、おそらく資本金か借入金で賄わなければならないでしょう。
私の場合は、自宅の一部を借り上げる形でホームオフィスとしてスタートしたこと、パソコンは個人のものを会社で買い上げたこと、ネットワークや電話などは、最初はオフィスの賃貸料に含める形で、共有にしたことでスタートしました。
なので、初期費用はあまりかかってなくて、
- 会社設立事務費用
- 印鑑作成
- 個人パソコンの買い取り
- 新しいパソコン一台(追加)
くらいのものでした。
コンサルタント業の経費は、実はそんなに掛からないと思います。
- 新聞代
- 書籍代(仕事関係の)
- 事務用品
- 携帯電話、ポケットWifi通信費
- PC周辺機器
- ホームページ・サーバーやドメイン費用
- 広告費(Google広告、Yahoo広告)
- 交通費(顧客負担のないもの)
- 教育費(仕事に関係するセミナーなど)
- オフィス賃料
と、あまり高額なものはありません。
この他に、交際費が使えます。
中小企業では、会社の規模に関わらず、年間800万円まで交際費が許されています。(もちろん私的な利用は除きます。)
個人会社を成功させるには、人的ネットワークはとても重要で、直接のお客さんでなくても、仕事に関連した情報交換、横のつながりのための飲食代は会社負担にできます。
サラリーマン時代は、自分の小遣いで人的ネットワーク作りもやらなければなりませんでしたが、きちんと理由が説明できる飲食を経費にできるのは、大きなメリットだと思います。
私の場合ですが、上記の内容で、初期費用が約50万円、経費(給与や社会保険料は除く)は初年度一年間で300万+αくらいでした。このうち、オフィス賃料が最大ですが、これは私個人と会社との賃貸契約なので、私個人に収入として入ってきます。(その分の税金は払いますが)
仲間内での情報交換も有益ですが、税理士さん、司法書士さんなどのプロが近くにいると大変心強いですよ。
さて、ここまでで、個人会社として、会社の損益と個人の給与をどう考えるかという方針を大まかに決めて、経費として出て行く給与以外のお金を見積もれたら、そこから給与と給与から決まる社会保険料の会社負担分、そして資本金を決めていきます。
売上と給与
起業したばかりで、売上を予想するのは難しいですよね。目論見はあるかもしれませんが、達成できる見込みはケースバイケースですね。
私の場合は、会社設立前に一社のお客さんが決まっていましたが、それ以外は見込みもない状況でした。
起業一年目は、5月設立(会計年度は4月-3月)で、7月末まで大手企業からの給与と、少ないながらも退職金が入ることもわかっていたので、そんなに給与は取らなくても良かったのですが、前述のように、ある程度、会社の収益を出しすぎないことも考慮して、結構おおざっぱに売上額の目標を決めて、そこから給与(社会保険料負担を含め)を算出しました。
また、資本金は、初期費用、経費と給与の合計の3か月分くらい+αの余裕分という感じで決めました。
初年度は実質8月-3月の8か月間で、結果からいうと、売上約600万円、会社の営業利益約10万円の黒字と、かなりいい線で初年度を締めることが出来たと思います。
記事を書いている時点で、3期目が締まっています。2期目も売り上げ予想と給与設定がうまく一致して、営業利益が30万円くらいだったのですが、3期目は、うれしいことではあるのですが、予想以上の売上になって、年度末に駆け込みで大きな買い物などをしたのですが、それでもたくさんの法人税を払うことになってしまいました。
今年度は、コロナの影響で、不透明な状況が続きそうなので、また予想が難しくなりそうです。
あくまで、個人会社(一人取締役、一人株主、パート(女房)一人)という会社で、無借金で行う例をご紹介しました。
参考になるところがあれば幸せです。
会社がスタートすると、日々のお金のやり取りを正確に記録していかなければなりません。税理士さんに丸投げであればいいですが、日々の処理までは自分でやるならば、会計ソフトも検討しておきましょうね。
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